『あなたのための短歌集』読書記録ツイートまとめ

読書

『あなたのための短歌集』


『あなたのための短歌集』
木下龍也さん
ナナロク社

読書記録

2022/01/01  最初-007

まえがき

依頼者からメールで届くお題をもとに短歌をつくり、
便箋に書き、封書にして届けます。

そのお手紙が届いたら、感動するでしょうねえ。すてきな取り組み。

001
“自分を否定することをやめて、一歩ずつ進んでいくための短歌をお願いします。”
お題の文章がとても良いですね。
左右のページを読んでひとつの作品なのでしょうけれど、片方のページだけ読み進めていくのも面白いかもしれません。

「他者からはえくぼに見えるあばたもね愛せなくても僕が愛すよ」
マイナスも含めて君を成すものだから、君のすべてを僕が愛す。その分君はだれかを愛せばいい。
と、わたしは声をかけたいです。

本当は自分で自分を愛すことができればいいのですけれど、自分を肯定できる人ばかりではありませんからね。

003
“教室を生き抜くための短歌をください。”
「息苦しい狭い世界と知るまでは広い空想せかいをつくれ」ばいいんじゃないかなぁと、わたしはおもいます。そうして乗り越えてきました。
頭の中は自由ですからね。だれにも邪魔されません。

007
“ぬりたての絵を風という観客がよろこびながら乾かしてゆく”
このうた、すきです。
絵を描いた方以外の、最初の観客は風だという発想が好きです。

2022/01/02  008-013

009
“あさがおを通過するたびきれいってつぶやくきみ”
花の名前を教えなさい、毎年咲くから。とおっしゃったのは、川端康成さんだそうです。(『掌の小説』の「化粧の天使達」に、そのような文章があるのだとか)
あさがおを見るたびに“きみ”のことを思い出し、“きみ”を見るたびあさがおのことを想うようになるのでしょう。

011
“仕事のキャリアも積みたい、いつかは結婚もしたい、子どもも欲しい。”
生きる力の強いひとだなぁとおもいました。わたしとは真逆の。
本当にほしいものが手に入ることを、無関係な第三者ですけれど、願います。

012
“とぅ〜ゆ〜♪のあと訪れる暗闇で再起動する日々の死にたさ”
「生まれた日人それぞれの区切りには死にたさ募る絶望の朝」
誕生日のタイミングって365日みんな違うからいいな、っておもいます。「誕生日」から連想する季節などのイメージもちろん、思い出も何もかも違うはず。

そして自分なりの区切りだからこそ、しにたくなります。直前と当日に。
「また目覚めてしまった……」と落ち込む朝が続く時期は特に。

013
“犬より”
え、これ、ありなのですか? とおもって数えてみたら、ぴったりで感動しました。凄い!
“人間へ”が5文字なのはすぐに気づきました。以前詠んだことがあるので。(「不完全それが人間受け入れる君がダメだとおもうところも」)

2022/01/03  014-018

014
“どこか不気味さを感じさせるような向日葵に私は魅力を感じています。”
この感性、いいですねえ。

018
“真夜中の最前線で祈る手をいつかみんなで夏に掲げる”
情報量の多いお題でも複数の要素を五七五7七に込めていて、凄いです。これがプロか……と鳥肌。

2022/01/04  019

019
“あなたは神様を辞めて”
最近「かみさま」のことをちょこちょこ考えていたので、タイムリーだなぁと感じました。
そして、「かみさま」のうたを詠みました。(「「かみさま」は僕にはいない「推し」でいい 身近な人を愛したいから」)

“絶対的な愛”を“獣”と言うのですか……そうですか……。『BEASTARS』を思い出しますね。

2022/01/05  020-021

020
この本を受け取った日に自然発生した、プチ読書会で、話題になった短歌のひとつ。
短歌の“きみ”は、誰からだれに対しての目線なのか。“私”→“好きな人”、あるいは、作者(木下さん)→“私”……。

また、お題の文章からどんな関係性なのかを想像していました。

最初、女性陣は「この“好きな人”はクズだ」と主張していたのですけれど……わたしはそうおもえなかったです(彼女がいる男性がキープとして女性と意図的に会っているなら、それはクズですけれど)。
わたしが気になったのは、“デート”という呼び方。これは“私”だけがそう感じていることで、“好きな人”はそんなことを考えていないのではないか……とおもいました。
友人にも話せない間柄……? 妻ではなく“彼女”なら、不倫ではなさそうです。

……同性愛? と、ハッとしました。
周りに明かしていない方なら、友人には言えません。“好きな人”がデートとおもっていないことも、彼女がいる人だからこそ“報われることはない”とおもってしまうことも、ストンと納得しました。

でもこんなの、何も知らないニンゲンが想像力たくましく、勝手にあれこれ考えただけのこと。お題を送った方の実際の状況とはまったく違うかもしれません。

ただ正直なところ、余白の部分を想像するのは、わくわくしてしまいます。

021
“させてあげます”って言い方が好きです。きゅーと!

2022/01/09  022-025

022
“音がぶつかりながら旋律となる”の、“ぶつかりながら”ってところがいいですね。一緒に暮らしていたら、何かしら問題は起こるものです。

024
“つまずいたって父親である”の、“つまずいたって”も、022と同じく。子は完璧に思い通りに育つなんてことはないのですから、怒ってしまう日も泣いてしまう日もあるのでしょう。
良くも悪くも、子はずっと子で、親はずっと親……。

025
“生まれたての母性”
よく言いますよね。元からあるものではなく、覚悟を決めたからこその母性だと。
もちろんお父さまも。

みんなで成長して学んでいくしかないのでしょう。周りの意見を参考にすることはできても、各々の課題は別でしょうから。

2022/01/10  026-034

026
“こんな世界に生まれた子は幸せになれるのだろうか”
こう考えるのも、愛情のひとつだとおもいます。
子を産んだ人だけが「子」のしあわせを考えているわけではありません。目に見える形ではないから、わかりづらいだけで……。

自分が愛せないせかいに引っ張ってくるなんて厭だ、とおもうので、わたしは絶対に産みたくありません。

028
“「衣」を使った短歌”をお願いされ、“更衣室”と詠むこの発想、すきです。

033
“踏み出すことが怖いです。今後の人生でも、たくさんの選択で悩んでしまう予感がしています。”
親近感を抱きます。わたしもこわいです、生き続けることはこわくてたまらないです。

034
“きみがいまつまずきながら描いている地図は未来でだれかを救う”
このうた、とてもすきです。
いまやっていることに意味はあるのか不安におもっても、誰かの役に立てるとおもうと心が救われます。

2022/01/11  035-037

035
“初任給で「あなたのための短歌1首」を買うことを目標に頑張ってきました。”
いいですね。
初めてのお給料は家族のために使うべき、と強くおもっている方もいらっしゃいますけれど、わたしは、好きなように使ったらいいとおもいます。ご自分のお金ですから。

自分で稼いだ初めてのお金を何に使ったか、思い出せません。たぶん、自分が好きなものに貢ぎました。そういうニンゲンです、わたしは。

037
“いつからか頭のなかで飼っている悩みがついにお手を覚えた”
かわいい。すきです、このうた。

この本を受け取った日に自然発生した、プチ読書会で、話題になった短歌のひとつ。
「飼い慣らすことができるなら、希望があるのでは」と話していました。化け物だったら、暴れて、お手どころではありませんから。

わたしの中にはいつのまにか、たくさんの「わたし」が存在していて、あちこちで好き勝手に話しています。年齢もバラバラ。
小学生の自分が一番強い想いを抱いているのか、ハッと気づくと真横にいることがあり、どきどきしてしまいます……。どうしてしななかったの、と責められているような気持ちになります。

「わたし」なのに、「わたし」ではなくて……でも「わたし」の一部。飼う飼われるの関係性でもないので、どうしたらいいか、わからなくなってしまいます。

お手、をしてくれるような素直な子たちだったら良いのですけれどね。それなら、少しくらい賑やかでも気にしません。
けれど実際は……振り回されてばかり。化け物より、タチが悪いかもしれません。

2022/01/14  038-041

038
“何度も撫でる”がすきです。
きっと、何度もなでなでしてもらった、“愛された犬”たちが今度は愛してくれたひとのことをなでなでするのですよね……。いいですねえ。

041
“エッセイを書きました。”
此処には載っていないのですけれど、実際にはエッセイも添付されていたのでしょうか……?
おふたりだけの秘密、いいですね。
打ち明けてもいい、とおもえる相手なのでしょう。お題を送った方は、木下さんに対して。

2022/01/16  042-044

042
“名前の文字を使った短歌”
此処には書かれていないですけれど、“月”のあるお名前なのでしょうか……?
前回(041)と同じく、おふたりだけの秘密、いいですね。

こういう信頼の心は、どこからくるものなのでしょう……? 会ったこともない、話したこともない方。それでも「この人になら……」と話せる、その判断を下す基準とは……?
近しい人ではダメなのでしょう。距離があるからこそ、わからないからこそ、話せるのかも……。

044
“お題は自分の名前に入っている「織」の一文字です。”
このお題に反応せずにはいられませんでした。この字の読み方は、「しき」ではなく「おり」なのでしょうけれど。

あれこれ書かずにこの一文だけ送る、「織」さん、すきです。

2022/01/17  045-065

045
“かなしみは寒がりだから”
本当にそうですね。悲しいとき、たいてい、心も身体も冷えています。
ぬくい心や身体に触れると、ほっとします。だから、好きな人のそばにいきたくなってしまいます。

053
“彼の人生を奪っているだけなのではないか”
どちらが年上なのかわからないですけれど、片方だけが奪うものではないとおもいます、恋愛って。
お互いに相手の時間を奪って自分のために使わせるだけの力がある、心の動き。
ただし、お付き合いをしている場合ですけれど。片想いは一方的に奪われていきますから。

058
“さんぽ、って聞こえるたびにうれしくて犬のしっぽはいそがしくなる”
かわいい。癒やされます。
なでなでしたくなります、わんこ。

065
“私のおすすめした本が、誰かの心に月あかりのように灯ってほしい。”
表現がすてき。
きっと、純粋に本が好きな方なのですね。ことばを大切にしてらっしゃることが伝わってきます。

夜、ひとりで歩いていても、この“月あかり”に気づいたら心強いです。

2022/01/18  066-071

066
“本が好きな人、図書館が好きな人が、好きです。”
わたしも好き! ほかの方もそう感じるのだなぁ、とうれしくなりました。

069
“成し遂げた”と言い切るところが好きです。

070
“あなたとヴィオラ”
すてきなうた。
“ヴィオラ”と入れてもらって、お題を出した方は感動するのだろうなぁとおもいました。いまのわたしよりも、もっと強く。

071
“こわれたままで帰ってきてね”
この14文字で泣きました。
壊れていてもいいのですか……? 壊れていても宝物のひとつと言ってくださるのですか?

2022/01/19  072-088

073
“他者”とか“多々”とか、言葉遣いが自分に似ていると感じました。断ることが苦手だという、この内容も。

075
あ。わたしの本の表紙に書かれている、うた。
ついにここまできましたね。

082
“どの窓も割れているからあたたかくしてぼくという廃墟においで”
友人の声で脳内再生されました。
自分の中は冷えているとおもっているけれど、他者を気遣うあたたかくて優しい気持ちを忘れない、すてきな廃墟さん。あなたの中に入れるのなら体が冷えたって構わない。

088
“あなたの死ではなくあなたの恋の死をあなたの声で聞けてよかった”
泣いちゃいます……。
この短さで“あなた”と何度も呼んでくれる、気持ちの強さに感動しました。

いつだって「死」が選択肢にある自分だから、なおさら、刺さります。このことば。

2022/01/20  089-あとがき

092
“安定した幸せが続いていて嬉しい反面、逆にそれが不安にもなります。”
しあわせになっていいはずなのに、不安な気持ちが抜けないのはどうしてなのでしょう……。6年経ってもいまだに慣れないやつが此処にいるのでご安心ください。(?)

096
“お題は「ムーミン」でお願いします。”
ムーミン……!
ムーミン全集を読むようになってから、ムーミンとムーミンに関することばたちに、敏感に反応するようになってしまいました。

ムーミンの癒やし効果が永遠に続きますように。

あとがき
“2012年、短歌を始めて間もないころ”
最近始めたのですか、とおもったのですけれどいまは2022年……。すでに10年経っています。
自分の感覚がずれていることを自覚してこわくなりました。

あとがき
“かけあわせて生まれた”
どちらの要素もあるなぁとおもっていたら、実際に参考にされたのですね。

あとがき
“あなた以外のあなたのためにもなるのかもしれない。”
実際、そうなりました。
自分がお題を送ったわけではないのに、わたしの心に寄り添ってくれるかのようなうたがいくつもありました。

あとがき
“両手で掬い上げる、あるいは銛で刺すような感覚でつくっている。”
それは感じました。どちらにせよ、受け手の記憶に永く残るものとなるのだろうなぁと。

参考リンク

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