“想像してごらん……”
もしも、この世界から大切な存在が消えてしまったら……。
もしも、そのことを覚えているのが自分だけだったとしたら……。
そして、もしも、自分にはそれを再現する力があるとしたら……。
あなたは甘いあまい「毒」を飲みますか?
あらすじ(ネタバレなし)
イギリスの小さな町で暮らす、シンガーソングライターのジャック。彼は教師の職を辞め、「音楽でビッグになる」という夢を抱いていた。けれど彼の曲をきちんと聴いてくれるのは幼なじみのエリーだけ。彼女はマネージャーとして献身的にサポートし、励まし続けてくれる。
売れない現実に打ちのめされ、夢をあきらめかけた夜、世界中が数十秒闇に包まれた。そのわずかな時間でジャックは事故に遭ってしまう。
そうして、謎の停電を隔てた世界からは、「ビートルズ」が消えていた……。
相性がいい人・悪い人
これから映画を観に行く人は、以下のリストも参考にしてもらえると嬉しいです。
なお、ビートルズそのものを知らず、曲をいくつか知っているだけのわたしでも楽しむことができました。詳しくないから……と観ることをためらっている人にも、おすすめします。
◆相性がいい人
- ビートルズについて詳しく知っている人
- 心から愛する推しがいる人
- 想像力が豊かな人
本人役として、エド・シーランさんが出演されているので、彼のことが好きな人も必見です。
◆相性が悪い人
- ビートルズのことが嫌いな人
- 世界規模の展開についていけない人
- 恋愛要素が苦手な人
もしもこの世界から……
大切なものが存在しない世界を、想像したらぼろぼろ泣いてしまいました。
エンディング・ロールでクレジットの文字を眺めながら、自然と“推し”につなげて考えてしまったのです。
そのうちのひとつ、映画内で出てきた作品について語らせてください。
消えた「ハリー・ポッター」
作中、この世界から消えたのはビートルズだけではありませんでした。
世界中の人が知る作品、「ハリー・ポッター」のことを知らないと言うのです。これは本好きとしては、聞き流すことができません。
わたしは、「ハリー・ポッター」シリーズによってさらに読書が好きになったのではないか、と母に言われています。
かの有名なイギリス人作家、J・K・ローリングさんがあの小説を生み出していなかったら、遠く離れた日本の少女は読書家にはならなかったかもしれません。読書をする人になったとしても、ファンタジー好きにはならなかったのかも……。
その影響は、ちっぽけな少女だけではありません。
「ハリー・ポッター」シリーズの映画に出演した役者さんたち、監督をはじめとする関係者、影響されて小説を書くようになった人びと。ありとあらゆる人の人生が、現在とはまったく違うものになっていたでしょう。
ひとつの作品が存在しないというだけで、世界はきっと、大きく変わってしまう……。
想像するだけで恐ろしいです。
この世界ではどうか、“謎の世界的な停電”が起こらないように、と願うばかりです。
連想した作品
映画を観る前と、観た後に、頭にふっと浮かんできた作品があります。
『世界から猫が消えたなら』
映画を観る前に、「もしも……世界からビートルズが消えたら……」とあらすじを読みながら考えていたところ、それに似たタイトルを知っていることに気づきました。
もしも……『世界から猫が消えたなら』……。
猫好きにとってこれ以上ないくらい悲しい世界になってしまいます。
猫と暮らす主人公はある日、自分の余命がわずかだと知る。
そこへ現れた“悪魔”は、「世界から何かをひとつ消す代わりに、命を与える」と言う。
自分の命と、世界に存在しているもの、何を引き換えにしていくのか――。
という内容の小説です。
映画化しているようです。
『天気の子』
観終えて、真っ先に思い浮かべたのは、『天気の子』。近年話題となっている、新海誠監督の新作映画です。(2019年7月19日公開)
どちらの作品にもネタバレになってしまうので、詳しくは言えないのですが……ラストから連想しました。
片方を知っている方はもう片方を是非、チェックしてみてください。もし両方観たことがある人は、見返してみるのもいいかもしれません。
こちらは、映画公開の前日に発売された小説版。監督自ら執筆したものです。
映画と小説、どちもある作品は、先に触れるのがどちらかによって印象が変わりそうです。
映画情報
『エイスタデイ』
監督:ダニー・ボイル
原案:ジャック・バース リチャード・カーティス
脚本:リチャード・カーティス
出演:ヒメーシュ・パテル リリー・ジェームズ ジョエル・フライ エド・シーラン ケイト・マッキノン ジェームズ・コーデン
公開:2019年10月11日(金)
時間:1時間57分
(敬称略)
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