映画『サイダーのように言葉が湧き上がる』読書好きの感想(2021年7月公開)

映像

文芸サークルのアカウントでTLを眺めていたら、映画『サイダーのように言葉が湧き上がる』を絶賛しているツイートが流れてきました。そのツイート主は真夜中さん。
真夜中さんはよく、映画のことをツイートしてらっしゃるので、とてもお詳しいのだろうなぁと感じていた方です。その人がおすすめしているならきっと、すてきな映画なのでしょうね。

……そうおもって、インターネットで上映館を調べました。

映画のあらすじ(ネタバレなし)

人前で話すと真っ赤になってしまうほど、しゃべることが苦手な少年。彼は、他者から話しかけられないように、耳をヘッドホンでふさいでいる。
前歯のチャームポイントがコンプレックスに変わってしまった、少女。彼女は、他者に見られないように、顔をマスクで覆っている。
田んぼに囲まれた広いひろいショッピングモールで、彼らは出逢う。

恋愛ものが苦手でも観られる「ボーイミーツガール」

いつからか、「青春」「恋愛」……そういった要素が強い物語を、うまく受け止められなくなってしまいました。周りの人の惚気話を聴くのは、好きなのですけれど……。
物語になってしまうと、わたしには、まぶしすぎます……。

「サイダー」は、いわゆる、「ボーイミーツガール」と呼ばれるジャンル。少年少女が出逢う物語です。けれど、「恋愛! 恋愛!」と騒ぎ立てるような描写は少なく、物語に集中することができました。


大好きな漫画『赤髪の白雪姫』もボーイミーツガールだとおもうのですけれど、恋愛が中心ではないからか、受け入れることができています。
恋愛もあるけれど、人と人との関わりを描く物語のほうが好きみたいです、わたしは。

ただ、「サイダー」は物語のクライマックスで、恋愛要素が大爆発するので……わたしはずっとそわそわしていました。なんというか、その、ご本人たちの間で大切にすべきことを第三者が見てしまうのは……いいのかな……と変な焦りが出てきてしまいます。
なので、「恋愛ものは一切無理!」とおもう方はご注意ください。比較的観やすい作品ではあります。

相性がいい人・悪い人

この映画と相性がいい人は、

  • ポップな色合いのデジタルイラストに惹かれる人
  • 俳句、ことば、かわいいもの、SNS、レコード、いずれかが好きな人
  • コミカルな、オーバーリアクションが大歓迎な人

逆に、相性が悪い人は、

  • 「青春や恋愛は一切無理です! 恥ずかしくなっちゃう!」とおもう人
  • 「むしろ恋愛もの大好き! それがメインじゃないと嫌!」とおもう人
  • デフォルメされた、リアリティのない絵は苦手な人

観るかどうか決める際に、参考にしていただければ幸いです。

好きなところ

創作する人の目線が好き

主人公の男の子・チェリーくんは、話すよりも書くことのほうが好き。自分が感じたこと、見たことを、「俳句」の形で残します。
わたしは俳句の作り方についてはよくわからないので、彼らはこうして考えているのか、こうやってせかいを見ているのか……と感動しました。

以前俳句のことを教えてくださった方が、「季語と表現したいことを組み合わせたらいい」……みたいなことを、おっしゃっていました。チェリーくんの俳句は、そうやって作られているように感じました。
素直なことば。いい意味で飾らないことばが好きなわたしは、とてもいいな、とおもいました。

メインの俳句の最後、「ぼくはすき」。こんなにストレートな表現でいいのか、と驚きました。かわいいですね。

そういえば、女の子が言う「かわいい」の意味がわからなくてもやもやするシーンがありましたけれど、たぶん男性たちが考える以上に気楽に言ってしまっています。人によるでしょうけれど、少なくともわたしは。
本当に「かわいい」と感じていますし、好感度は高いですよ。

かわいいがいっぱいで好き

  • 適度にデフォルメされたイラストがかわいい
  • ポップな色合いのせかいがかわいい
  • 女の子たちのお部屋がかわいい
  • 一斉に聞き返すご高齢の方々がかわいい
  • 街中の文字がかわいい
  • 街灯の光が星型でかわいい
  • 素直な反応をするヒロインのスマイルちゃんがかわいい

始終「かわいい」と感じていました。音楽までかわいかったです!

スマイルちゃんも「かわいい」が好きな子で、かわいいものを探して歩き、それを配信してネットの人びとと交流をします。
顔出しをしながら、「地元のショッピングモール」だと明かしてしまうところは、勝手にひやひやしていました……。インターネットで個人情報を出し過ぎるのは危険だとおもいます。よい子は、真似してはいけませんよ。

真似をしてはいけないことと言えば、街中に落書きをすることもだめです。エンディング後に注意書きが小さく表示されましたけれど、日本では犯罪ですからね。
創作として、表現として、すてきでした。街にことばがただよっているかのようで……。現実世界でも、ふわふわと、ことばが浮かんでいたら楽しいのにっておもいます。

カメラワークが好き

  • 冒頭、空を飛んでいるかのような上空からの目線
  • せかいがまわってガチャガチャが開く
  • サイダーの泡が浮かぶ空
  • 冷蔵庫の中にいるまま、しゃがむ

そういった面白い表現がたくさんありました。
詳しくは、観ていただければわかります。(わたしの記憶違いでなければ……)

映画情報

『サイダーのように言葉が湧き上がる』

原作:フライングドッグ
監督・脚本・演出:イシグロキョウヘイ
脚本:佐藤大
キャラクターデザイン・総作画監督:愛敬由紀子
出演:市川染五郎 杉咲花 山寺宏一 潘めぐみ 花江夏樹 梅原裕一郎 中島愛 諸星すみれ 井上喜久子 神谷浩史 坂本真綾
公開:2021年7月22日(祝・木)
時間:1時間27分
(敬称略)

参考リンク

こちらにも感想を書いていますので、よろしければご覧ください。

  • 『サイダーのように言葉が湧き上がる』公式サイト
  • 真夜中さん(おすすめツイートをしてくださった方)
    Twitter:@cqjohnberger
  • 文芸サークル「あさぼらけのつき」
    Twitter:@asaborake_tsuki
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