ごきげんよう、大家さん。(『大家さんと僕』感想)

大家さんと僕読書

あなたの周りに、「ごきげんよう」とあいさつする方はいらっしゃいますか?

創作の中でしか知らないあいさつです。

大家さんと僕』は、その優雅なごあいさつを日常的に使っていたご高齢の「大家さん」と、芸人の「矢部さん」が出会い、仲良くなっていくさまを見守る本です。
お茶を飲みながら、ゆったりと、時間を忘れて読みましょう。

『大家さんと僕』

『大家さんと僕』
大家さんと僕
矢部太郎さん 著
新潮社

読了。

ご近所のおばあさま

この本を読んで思い出したのは、以前、近所に住んでいたおばあさんのこと。
「大家さん」のようにきちんとした服装で、きちんとした時間にお料理をして、わたしの顔を見ると嬉しそうにごあいさつしてくださいました。

わたしは正直なところ、矢部さんのように戸惑っていました。実の祖母に対しても、距離感がわからずに戸惑ってしまう人間です。

矢部さんと大家さんのように仲良くなることはありませんでした。

織(しき)
織(しき)

せめて、もうすこし愛想良くあいさつをすれば良かったかもしれないなぁ……

後悔してもいまは、おばあさんは近くにいません。

気になったシーン

p.13
猫さんに対しても「ごきげんよう」とあいさつする丁寧な大家さん、かわいいですね。

p.24

ものを
へらして
いきたくて

私のいなく
なる日までに

筆者は断捨離にハマった時期に、

織(しき)
織(しき)

棺桶に入れてほしい物ってなんだろう

と考えたことがあります。

死後のことはわからないですけれど、たぶん、この世の物は持っていくことができないとおもうのです。だから使い続けることが目的ではなくて、さいごの瞬間まで側に置いておきたい物

そう考えると、いま部屋にあるほとんどの物が不要だと感じました。

「生きる」と考えると念のため持っていたい物でも、
「終わり」と考えると手放して身軽になってしまいたいと感じます。

大家さんは若者よりよっぽど「終わり」のことを考えていたのでしょうね。

織(しき)
織(しき)

さいごまで持っていた物は何だったのだろう……?

p.46

矢部さんは
いいわね
まだまだ
何度でも
転べて

「七転び八起き」なんてことばがあるけれど、起き上がることができるのは若いうちだけなのかもしれませんね。
P.49で立ち上がれずにごまかす大家さん、こちらからしたらかわいらしいなぁとほっこりするけれど、ご本人はもどかしく感じているはず……。

  • 速く動けないこと
  • 転ぶことができないこと
  • 立ち上がれないこと

できないことが増えていって、でもそれらと向き合うしかない……その悔しさを筆者はまだ、体験しておりません。

p.52
「のちゃーん」さん初登場。
チャラいけれど呼ばれたらちゃんと来てくれて、丁寧に作業してくれて、明るい人。ご年配の方にウケがいいのも、なんとなくわかりますね。

p.57
日本で二度目のオリンピック、開催されませんでしたね。
世界が変わってしまったので、今後もどうなることやら……。

p.62~
大家さんの暮らしが垣間見えるエピソード。高級……。

自分よりの年代の方が書いた本を読むと、デパートは特別な存在だった、と綴っている文章に出くわすことがあります。
自分を含めの世代の人びとにとって特別な場所ってどこでしょうね……。某夢の国とか?

p.69

死ぬなんて
先のこと

いいえ、矢部さん。老若男女関係なく、だれだって「」は側に有るものですよ。

p.83
切ないです。

ふと気になったのですけれど、別の人生を歩んでいたら、大家さんは大家さんになっていたのでしょうか。どうして「大家」になったのかわからないけれど……もしも大家ではない人生だったら、矢部さんと出会うことはなかったのですよね。

大家さんにとって、どちらがよかったのでしょうか。
もしも」なんてありえないことと比較するのは無意味ですけれど。

ちょっとだけ、気になってしまいました。第三者の、とっても余計な考えです。

p.84~
そっか。
この番組も「ごきげんよう」ですね。大家さんのごあいさつと一緒。

司会者の方、そっくりです。お上手。
この回見てみたかったです。

p.123
オチがきれいですね。笑いました。

p.126
大家さん本当にかわいらしい方。

筆者の個人的なメモ

2020年6月 読了(正確な日付は忘れちゃいました)
2020年6月29日 再読・記録
2020年7月11日 記事作成
タイトルとURLをコピーしました