2019年12月17日(火)
『舞妓さんちのまかないさん』12巻、読了しました。
京都で暮らす舞妓さんと、彼女たちが住むおうち「屋形」でお食事を作るまかないさん。
十代のうちからしっかりと働いている姿に励まされ、毎度美味しそうなごはんを見てお腹が鳴る、そんな漫画です。
漫画は12月に発売されましたが、内容は夏! 祇園祭!
むしむしと暑い京都はいつもよりもにぎやかです。
舞妓さんたちの日常
このシリーズは舞妓さんの日常を描いているので、一般人は知らない、彼女たちの“当たり前”を少しだけ知ることができます。
例えば、
- お食事の時に帯にハンカチをはさむ。(お着物を汚さないため)
- ペットボトルの飲み物はストローで飲む。(口紅をつけない、飲み物をこぼさないため)
など。
これは蛇足ですが、
看護学部の人たちはストローを使って飲み物を飲んでいました。「雑菌の繁殖が~」という話は聞いたことがあるものの、その日のうちに飲み切る、くらいしか自分は気をつけていません。
看護だときちんと学ぶため、その危険性をよく知っているのでしょうね。
願いを叶えたい女の子たち
おまじないも、花街ではちょっと違うようです。
巡行の夜から
七日七夜、
祇園さんから
寺町のお旅所まで
お詣りするんえ。
(94ページより)
でもその間、誰とも話してはいけないそうです。
舞妓の「すーちゃん」のお願いは……。
それは、漫画を読んで確認してください。
懐かしいおまじない
恋のおまじないって、特に小学生の頃いろいろ流行りましたけれど、
- 消しゴムの裏に好きな人の名前を書いて、誰にも見られずに使い切る
- 「行ってきます」と3回言って、右足(左足?)から出る
とかなんとか……。記憶があいまいで申し訳ないです。
いま考えると可愛らしいですねえ。
おまじないに頼りたくなってしまうほど好きな人ができた、そんな子たちに幸あれ。
そしてどうかその純粋な心を忘れずに……。
作者さんの思い出話
話の合間にある、作者さんの手書きのエピソードを読むことも楽しみのひとつです。縦書きだったり横書きだったり。
食べ物に対する愛を感じる短い文章に、ほっこりします。
「トマトのおみそ汁」は初めて知りました。
火を通したトマトが好きなので、もしかしたら自分も好きかも……。ただ、おみそとの相性は気になりますね。
記憶って不確かな存在
手書きのエピソード、今回は食べ物だけではありませんでした。
書いているご本人が、「なぜこんな記憶が……?」と不思議におもっている思い出。読んでいるこちらも不思議です。
記憶というものはとても曖昧で、おもいだす度に少しずつ姿を変えている説もあるそうで……。同じ体験をしているはずの人が、自分が覚えていないことを話すのも、あるあるです。
- 本当にこのまま体験したのか、
- 別の体験を勘違いしているのか、
- 誰かから話を聞いているうちに自分の体験だとおもい込んでしまったのか……。
それはたいてい確認できません。
でも、ひとつの思い出として大切にするのも良いのではないか、と個人的にはおもいます。
すーちゃんの素顔
しっかりメイクをして、きりっと着物を身にまとって、しゃんと立派に(そりゃぁもう筆者なんかよりもよっぽど立派に)働いている舞妓さんたち。とても眩しいです。
この前テレビでちらっと、現役の舞妓さんを見ました。実年齢の“数字”だけで判断できない・してはいけない、堂々としたお姿でした。
それでもやはり、十代の顔をのぞかせる瞬間もあります。
プロの舞妓として、一目置かれている「百はな」こと、すーちゃん。(努力家な彼女を見習わなければ、と筆者は常々おもっています。)
彼女が珍しくはしゃいでいる姿を、12巻では見ることができました。
好きな人の話をしていたり、おもいだしている女の子ってどうしてこんなに可愛いのでしょうねえ。にこにこしちゃいます。
74ページの表現が特に好きです。
13巻が待ち遠しい

舞妓さんちのまかないさん ⑫
ほのぼのとした内容に癒されている「まかないさん」シリーズですけれど、次巻がいつも以上に気になる終わり方でした。引き続きすーちゃんにスポットを当てていくのでしょうか。
お詣りと抱きしめるシーンでうるっときてしまった涙腺脆弱な筆者なので……。「彼」が登場しただけで泣く気がいたします。
引き続きそっと見守っていくしかないのですけれどね。
2020年3月、発売予定だそうです。
楽しみに待ちます。