『物語のなかとそと』(ゆったり読書感想)

読書

『物語のなかとそと』


物語のなかとそと
江國香織さん
朝日新聞出版
全232ページ

選んだ理由

江國香織さんのエッセイが好きなので、手に取りました。
あらすじの、“読むことと、書くことにあけくれて暮らす”って、最高の生活ですね。
そのあとに“旅”の文字があり、渡す人も旅をする人だと思い出しました。あの人に合う本かもしれません。

読書記録

p.16~
(これは夢?)と考え始めました。

p.18
“キンカンベリー”
検索してみたら、キンカンとベリーのケーキは出てきました。

~p.23
なんだなんだ、これは! ふしぎで面白いですね!

p.24
“真夜中に闇の中でするお手玉”
そんなことはしたことがないのに、想像してしまいます。そのわずかな音も、手触りも。
そもそもお手玉ができないのですけれどね。

p.26
2円でハガキを送ることができた時代っていつなのでしょう?

調べてみたら、昭和23年だそうです。73年前。
参考にしたサイトの情報の真偽は不明です。公式的なものではないので……。

p.29
音かわいい。

p.31
(嗚呼、そういえば……)と思い出しました。この方は、『とるにたらないものもの』を書いた方でした。
人びとが見逃してしまうような、物の魅力をしっかりと味わう人。それを伝える技量があるお方。


p.36
“これはほんとうの話です。”
へんてこレストラン』のラストを思い出しました。

“あなたのすきとおったほんとうのたべものになること”
それは、『注文の多い料理店』の序文をセリフとしているようです。

p.41
“知らないパンがたくさんあった”
例にあげたパンが、本当に知らないものばかり。いまと呼び方が違うだけでしょうか?

p.71
“安心して生きて、安心して死ねばいい”
どうしたら、安心できるのでしょう? いつも不安です。

p.75
“私はただそこにいればいいのだ。”
そうおもうことができたら、いいのですけれどね。

p.82
“絵本が存在しているということ。それを読めるということ。”
(中略)
“わたしの本、にできること。”
絵本に限らずすべての本に対して、それらはしあわせなことだと感じます。例えすべての本を自分のものにできなくとも、読めなくとも。本が在るということが、わたしはしあわせです。

p.94
“私もちょっとは上手だけど”
謙遜しているようで、しっかり自分の良さを認めているところがすてきです。実際わたしは江國さんの本のタイトルが好きです。

p.106
“本を読んでいる自分自身が、そこにいていないものになる、という経験は、おそらく誰にでもあるはずだし、たしかに幸福で、えも言われない。”
経験があります。その間は穏やかな身体になることができます。心は常に動いているのですけれど。
現実世界に置いてきた身体は、充電しているような感覚になります。そのエネルギーは、物語のせかいに旅立った心が持って帰ってきます。

p.110
“読むものなしで外にでることは、私には恐すぎること”
本を忘れて出てきてしまったときの絶望感は……できれば、もう味わいたくないです。けれどわたしはかなりうっかりしてしまっているニンゲンなので、ちょくちょく、やらかします……。
いざとなれば出先の本屋さんに駆け込めばいいのですけれどね!

p.113
“もう最高、としか言えない。”
江國さんが「オタク」に対してどのようなイメージを持ってらっしゃるかわからないですけれど……好きすぎて語彙力を失うオタクのさま、そのものでわたしは親近感を抱きました。
好きなものを素直に「好き」と言う人が好きです。

p.117
“どこに行くにも本としゃぼん玉液を持ち歩いています”
しゃぼんだま……しばらく、それで遊んでいません。いいですね。

p.131
いままで生きてきた時間のほとんど、本のせかいに浸っていたわけではないのですけれど、自分を形成するものの半分以上は本に関するものだとおもいます。なのでわたしも、江國さんほどではないかもしれないですけれど、「浦島太郎」状態になってしまっているところがあるかもしれません。
現実なんてどうでもよくて、かなうならばずっと本の中で暮らしていたいとおもってしまいます。本の中の人びとがどうなっていくのか、とても気になります。

最近ようやく、現実のせかいの人びととも深くかかわるようになりましたけれど、自分の感覚がずれてしまっていることを痛感しております。ふと気がつくと、自分のテンポで動いてしまっています。人に寄りそえるニンゲンになりたいとおもっているくせに。なんて自分勝手……と、反省します。
ひとりになって落ち着いてみると、人と関わっているときの自分のはしゃぎように引いてしまいます。みっともないです。それすら許してくれる知人・友人たちには、感謝してもし足りません。

p.140
“散歩をするのはすこしのあいだ死ぬことで、だから私は、日に何度も死んでいる。”
どうしてこんなにすてきな文章を書けるのでしょう。これを読んでしまったら、わたしも何度も「死」にたくなります。
散歩に出るたびに、このことばを思い出す気がします。「あ、いま、しんでいるんだ」って。「“すこしのあいだ”だけ……」

p.153
“わかるだろ”と言われて、“そう”とことば少なく返すさまが、イイオンナ感があるのは何故でしょうね。文字だけでは会話になっていないのですけれど。雰囲気で伝える何かがあるのか……余裕があるように見えるのか……。
わたしだったら、「わかる」か「わからない」か答えそうですし、わからないならわからないなりに考えるのですけれど……。江國さんは、余計なことばを並べないのですね。

このお姿に、賛否両論ありそう……とはおもいます。
わたしは、真似したいとはおもわないですけれど、何となく格好良いと感じました。
彼女が書く文章はいつもそうです。「わたしとは違う人生」と強く感じるのですけれど、それはそれとして、「すてき」とおもいます。

p.158
「死んだ街」と読み間違えてしまいました。「死」の空気に包まれている街。そこはとても静かで、変化がない場で、わたしにとって魅力的なところだと感じました。
一瞬の妄想なのですけれどね。それは存在しない街です。

p.159
“気に入ったレストランのある街に住むとは限らないが、気に入ったレストランのある街にはでかけて行く。”
この文章の「レストラン」と「本屋さん」にしたら、ぴったり、わたしに当てはまります。

p.162
“街には、見慣れているのに何だかわからないものがたくさんあり、調べようと思っても、何しろ何だかわからないのでどうやって調べればいいのか”
この感覚は多くの人が経験したことがあるのではないか、とおもいます。
以前、街の中のさまざまな物を知っている方の「ゲームさんぽ」を観たとき、見た目は知っているのに名前を知らない物がたくさんあると気づきました。知らない、ということを意識したことすらなかったです。


その方の著書、『街角図鑑』を是非読んでみたいのですよねえ。

赤い三角コーンの名前とか、わかりますか? 白い線が入っているものがたぶん主流だとおもうのですけれど……。
「スコッチコーン」というらしいのですよね。それがセフテック株式会社のものか、別のものか……というニッチな話を動画でしていました。物の名前だけでなく、どこがつくっているものなのかも頭の中に入っているって凄いです! 面白い!

p.170
黙って見守ることができる、大人……。格好良いです。

p.177
“片側はしっかりと、もう一方はくもの糸みたいに頼りなく。”
こういう表現ができるようになりたいものです。何気ない文章なのですけれど、スッとイメージが思い浮かびます。

「巧い文章」の特徴のひとつ。読者に想像させる力があること。
それは著者の方のイメージとまったく一緒ではなくともいいのだとおもいます。読者が想像して、紙の上から飛び出してしまえば、きっとそれでいいのです。

p.181
江國さんって、ご自身のことを子どもだとおもう部分がいくつかあるようですね。彼女の文章を読んで、(大人だぁ……)とわたしはおもっていたのですけれど。
他者から見えないところも、「自分」は見えてしまうので、幼稚だと感じやすいのでしょうか。わたし自身、子どもだとおもうことが多々あります。(大人になれないなぁ……)と落ち込みます。

p.183~
さまざまなおかゆ、というと、先日読んだ『ライオンのおやつ』を思い出します。本に影響されて、おかゆが食べたくなってきます。

p.187~
多少食べなくとも生きていける、と考えるニンゲンなので、この褒めことばは絶対に言っていただけないのですけれど……「いいな」とおもいました。こういう褒め方も、いいですねえ。
友人がそう褒められているところを聞いてみたいものですけれど、自分より先にしなれては困ります。寂しがり屋ですし、しにぞこないなので、自分の命より生きるべき命が尽きるのを見てしまうと、つらくなってしまいます。

p.204
“まだ暗い、まだ暗い、と思いながらお酒をのんでいるうちに、窓の外が仄白くなっていて、びっくりしたりもする”
「お酒」を「読書」と言い換えたら、経験があります。はっと気がついたら、朝。

p.214~
この物語、好きです。
世界を、許せるのでしょうか。こちらの感情などおかまいなしに、勝手に進んでいくじゃないですか。わたしは、この世にわたしがいることが先ず、許せません。

p.226
良い文章を読むと、そのことばの力強さに引っぱられます。普段、自力で形にできない文章がすらすら内側から出てきます。自分にはこういうことばが眠っていたのか、と驚きます。
他者に影響を与える文章、心が動いてしまう文章を、わたしは「良い文章」だと感じる傾向があるようです。

2021/03/06-07、交互に一晩中読んでいました。どちらも読了。

参考リンク

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