犬の青年

夢のきおく

床に座ってぼんやりしていると、冷たいものが手に触れた。指先を見ると、湿っている黒い鼻が、ふんふんとにおいを嗅いでいる。健康の証拠だね、とつついた。それがくすぐったかったのか、くしゅん、とくしゃみをした。「ごめん」と笑いながら、白に近いクリーム色の頭をなでる。
抱きしめると、彼のあごがわたしの肩に乗っかった。ふさふさのしっぽを振っているのが見える。

あたたかい。
大きい犬はいいなぁ……、と癒やされた。けれどわたしは知っている。いまは犬の姿をしているけれど、中身が知人の青年だということを。周りの人には何も言わない、と決めている。

首のにおいを嗅いでいるらしく、あたたかい息がかかる。くすぐったい。
「犬だからって何でも許されるわけじゃないからね」とおもうけれど、同時に、「犬だから遠慮なく触れることができる」ともおもう。人間の男女は気軽に触れてはいけないらしい。性別なんて気にせず、仲良くできたらいいのに。
「お互い、ただの生きものとして見ることができたらいのにね」
心の中で、つぶやいた。

2021年4月3日(土) 二度寝したときの夢
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