『ムーミン谷の仲間たち』
ムーミン全集[新版]6
『ムーミン谷の仲間たち』
トーベ・ヤンソンさん
山室静さん 訳
講談社
読書記録
2021/12/15 p.115-119
「静かなのが好きなヘムレンさん」を読み始めました。
p.116
“だれにもじゃまされずに好きなようにくらすためのお金”
それはどの年代であっても、必要とする人が多いお金だとおもいます。
人と関わらなければ寂しくてさびしくてたまらない人もいるかもしれませんけれど……。ひとりの時間を大切にしている人には必要不可欠。
p.117
“おまえはひとりぼっちでさびしくて、やることもないんだろ。”
決めつけはよくありません。ひとり、イコール、寂しいと考えるひとは大変そうです。人生において、ひとりきりの時間をすべて排除することは、できませんから。
それに、ひとりの時間を大切にするひとほど、暇はありません。あれこれやりたいことがあるものだとおもいます。
p.117
“さびしくなんかないんです。ひまだって、ありません。”
えぇ、そうですよねえ。
表からはわかりづらいでしょうけれど、さまざまな感情が渦巻いていることでしょう。
p.119
“必要とあらばささいなことでも手を貸(か)してやりました。”
ご自分の時間が少ないのでは……? 大忙しですね。
2021/12/18 p.119-125
p.122
“みんなは、このうえなく上機嫌(じょうきげん)で、遊園地のかわりにスケートリンクをはじめることにしたのです”
悲観的にならないのは素晴らしいですね。発想が柔軟です。
p.123
“気のりしない仕事を一生つづけなければならなかったなんて、とんでもない笑い話みたいだと思った”
それ、多くの大人に刺さることばだとおもいます。特に耐えることを美徳と考えているタイプには。
p.124
“うまくいくといいね、たのしんでおいで!”
そのことばがどのくらい本当の気持ちなのか、わたしにはわからないですけれど……こう言ってくださるのは優しいなぁとおもいます。
ストレートに馬鹿にしたり邪魔したりするより、よっぽど良いです。好きなことをさせてくれるのですから。
2021/12/19 p.125-139
p.126
“雨に濡れた庭園がしきりに湯気をたて、日にきらめいていました。”
洗濯物を干すときに、これと似たような光景を見ることができます。人によっては当たり前のことかもしれないですけれど、毎回ほんのすこし、感動します。
濡れた洋服から湯気がたつ。それのどこが面白いのか、自分でも、よくわからないのですけれど。
p.128
“ばかでっかいバラのしげみ”
本当にこう書かれているのか、数回読み返してしまいました。ムーミンでこのような翻訳に出会ったのは初めてかもしれません。ばか、でっかい……。
p.139
“あいつは、たいくつしたんだよ。”
相変わらず、決めつけてくるひとたちですね……。あのヘムレンさんが何を好きなのか、何を考えているのか、だれか真剣に聞いてあげないのでしょうか?
p.139
“
「そうだよね」
と、子どもたちもいって、手回しオルガンは外に置きました。
”
子どもたちのほうがヘムレンさんを理解しているように感じます。一部勘違いしていますけれど。
2021/12/21 p.140-147
p.144
“ひそかに心おどるざわめきで、さらさらざわざわ、わきたっていました”
静かだけれどまわりの興奮が伝わってくるふしぎな環境……某古本市の空気を思い出しました。
話している人は少ないのですけれど、みんな本が好きなのだと伝わってきました。
p.147
“だけど、だれだって自分の好きかってにやるのが、いちばんいいんだ。”
決めつけてくるところは好きではないのですけれど、押しつけないところは大好きです。だから何度も、悪いひとたちではないと言っていたのですね、ヘムレンさん。
「静かなのが好きなヘムレンさん」読了しました。
できることと向いていることとやりたいことと任されることはなかなか一致しないので、むつかしいですよね。