観測者の脳内

日々

2022年4月26日(火)

小説を綴りました。完成までの過程がいままでとまったく違って面白かったので、記録を残します。(許可はもらいました)
と言っても、この作品を読む人は限られてしまうとおもうのですけれど……。小説を書くときってこういう脳内なんだなぁ、とひとつの例としてとらえてください。けれどかなり特殊なので、参考にはならないかもしれません。

タイトル:『煙客の君』
著者:織(しき)
文字数:約2,000字
制作時間:約3時間

テーマは、「大人」。なので、最初のセリフは、“「『大人』って何ですか?」”にしました。それ以外はまったく決めずにスタート。

何ですか、と言うなら相手がいるはず。敬語を使う相手、でもこの問いを投げられるほど親しい仲。
大人になると許可されるもので、ぱっと思いついたのが、タバコとお酒。大人だからタバコを吸えるのに、「何?」と問う幼さのちぐはぐさがいいな、とおもいました。

ふたりがいる場所……。ゆったり過ごせる喫茶店がいいです。でも、調べてみると、喫茶店ではお酒の提供ができないとのこと。カフェなら可能だそうで、おふたりにはカフェで向かい合ってもらいました。
(結局、タイミングがなかったのでお酒は登場しませんでした)

ふたりは、同じ大学で同じサークルに所属していた「せんぱい」と「後輩」。名前を出さないこと、物語の最後に「せんぱい」と呼びかけることだけ決めました。
彼らの関係性を、読者がどのようにとらえてもいいです。過去も現在も未来も、自由に想像してください。

モデルにした人はいません。どちらもある意味「織」だし、ある意味「織ではない」です。
いままで話したたくさんの人たちのことばがわたしの中にあったので、そのハーフかも?

後輩がよくしゃべってくれる人なので、聴いていて楽しかったです。
今回の物語では行き先(ラスト)を決めていなかったので、彼らに自由に動いてもらいました。わたしはそれをそばで見守るだけ。だから、彼らが何を話すのか、何をするのか、一切わかりませんでした。「そういうことを考えていたのか」と何度も驚きました。

止まったのは、ラストの「せんぱい」と呼ぶところ。後輩は何を伝えたいのか、わかりませんでした。
せんぱいと一緒に待つことにします。“「せんぱいは……」”。
「先輩」と表記しなかったのは、後輩の中で先輩は「せんぱい」だと感じたからです。これも、もともと決めていたことではありません。

彼らはことばを交わすけれど、伝えずに飲み込んでしまうことばもあります。そこから、タイトルは「黙る」ことに関することばにしようとおもっていました。ちなみにタイトルは物語を書き終えてから、最後につけます。
「押し黙る」の“ものを言うのを意識的にやめて、口をとざす意”が一番近いとおもったのですけれど、個人的なことばのイメージが「むっとしている感じ」で、彼らに合わないとおもって却下。不機嫌になったから、ことばを伝えなかったのではありません。
いったん、『口の中で殺したことば』とつけてみたのですけれど……なんかこわいし、ダサいのでやめました。

後輩が吸っていたタバコから連想して、「煙」で検索。「煙客(えんかく)」と出てきました。初めて知ることば。「タバコを吸う人?」とおもったのですけれど、意味は違うようです。
パソコンの予測変換で漢字が出てこないのですけれど、電子辞書の広辞苑には載っていました。小説を読んだ方には是非、意味を調べてほしいです。こんなにぴったりなことばがあるとは……と真夜中にテンションが上りました。

「織」として綴るので、織の文体を強く意識しました。ひらがな表記にするところ、読点の位置……。Twitterで綴るときに意識している部分です。
それもあって、小説を書くときの感覚が普段と違ったのかもしれません。いつもは自分が消えているのですけれど、今回はすぐ横にいました。

楽しかったです。エチュード(即興劇)を観ているみたいな気持ちでした。
彼ら自身、何を伝えるか否か決めていなかったとおもいます。選ぶことも、選ばないことも、彼らの自由。時間を共有している、いま、この場は彼らのものです。誰もそれを壊すことはできません。

これを受け取った読者は、どう感じるのでしょう? 気になります。

追記1
小説を読んでくれた同居人さんに「読む意味がわからない」とまで言われたので、加筆修正をしました。結果、約1,500字になりました。
追記2
最終的に提出したほうを読んでくれた友人から褒められ、ほっとしました。「こういう文章も書けるんだね」と言っていただけたのは、とても嬉しかったです。

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